コミラボ 階段の踊り場編 part1

小宮さんのお宅では、2010年の夏に事務所兼自宅を建て替えられる際に
家の壁のほとんどをご自身の鏝(こて)で仕上げられました。
それからというもの、お家の中を実験場のような感覚で塗り替えて
模様替えを楽しんでいるそうです。
今回は階段の踊り場を、ちょっと変わった色の壁に塗り替えされるということで
その様子をレポートします!

今回の実験では、新築時に塗った壁の上に、新しい壁材料を重ねて塗っていきます。
元々の壁は、鏝でパターンをつけて塗ったシンプルな砂漆喰の壁です。
小宮家の多くの壁がこの砂漆喰で仕上げられています。

新しい壁も今までの雰囲気に合うような、ざらざらとした仕上げにするのかなと思いきや、
お話しを伺うと、今回は「 磨き 」の手法で光沢感のある壁に仕上げてみよう! とのこと。
しかも!ブルーとグリーンの色まで付けるそうです!

一体どんな色の壁になるのか、興味津々です。

砂漆喰は和室などでも見られるとてもポピュラーな壁です。自然な風合いで優しい雰囲気がが特徴。

どんな色や手触りの壁になるのかもう少し詳しくお伺いしたいと思ったので、
壁素材メーカーが発行しているカタログや見本帳を眺めながら、お話ししました。

なんだか左官屋さんにお仕事を頼むお客様気分です。

様々な色の壁を生み出す色壁材料の見本も多く、普段あまり見かけない色にワクワク。
混ぜる材料や乾く時間によって色が変わるので、あくまでイメージを共有できる程度に。

ララ: お客様から壁の塗り替えを御依頼された場合は、まずこの見本で検討されるのですか?

小宮: そうそう。 あとは、インテリア雑誌の切り抜きや、写真を見ながらね。
口で説明してもお互いになかなか伝わらないから。

ララ: 確かに、頭の中だけで想像するには限界がありますね。

ララ: 今回のような色壁の場合は、どうやって材料を作るのですか?

小宮: 色の粉と壁のベースとなる材料を自分で調合する場合もあるけど、色の調合までメーカーでしてくれている土もあるよ。水を混ぜればすぐ使えるっていうやつね。
それに砂や藁を足したりすれば、粒の粗さを変えられて、表情も変わるから無数のパターンが広がって面白いと思うよ。

今回は使用しませんが、漆喰壁の見本もみせていただきました。
実際にボードに塗ったサンプルが貼り付けてあります。ただの茶色の中にもこんなに種類が!

様々な見本の中から、今回は、外国のお部屋のような綺麗な色の壁にチャレンジするべく、ドイツ製の色の粉を使って材料を調合することに!

想像通りの色を選んだはずが・・・ 想定外の圧迫感が!

「せっかく色の付いた壁にするなら、パンッ!と発色が良いのがいい!」と、どうしても濃いめの色を選びがちなのですが、実際に大きな壁面に塗ってみると、お部屋の印象が、想像よりも暗くなったり、圧迫感が強くなってしまう事がよく起こります。

小宮左官では、色見本より少し明るめの色をおすすめすることで、塗り替えた直後も、そして数年後も、毎日清々しく過ごせるお部屋になるようにとご提案しています。

試しに聞いてみよう、というお気持ちで是非ご相談下さい。

つい興奮してカラフルな色を選びたくなる
気持ちを抑え目にすると、毎日目にする壁が、より良い壁に!

石灰に、砂と糊などを合わせたものを「砂漆喰(すなしっくい)」といいます。
小宮左官ではこのシンプルな素材を使って、自然なパターンの壁を塗ることを得意としています。

蔵やお城にも使われている「漆喰」は、調湿効果に優れた素材です。
そこに砂を混ぜると、鏝で塗った時に壁にざっくりとした陰影が生まれ、
一気にお部屋を柔らかい雰囲気にしてくれます。
砂漆喰を塗った壁は味わいがあり、湿度の調節もしてくれる素敵な壁なのです。

あんな場所、こんな場所にも!

小宮家が家の建て替え中に住んでいたアパートは湿気がこもりがちで、押入れのカビにとても悩まされた為、新居では実験も兼ねてクローゼットの内側に塗ってみたそうです。
現在塗って4年程が経ちますが、カビやにおいにも困ることはないそうです。実験成功!

最近、新しい2段ベッドを使い始めた末っ子が「ベッドのにおいが気になる」と、ベッドの素材から出ている製品臭(家族のほかの人は、気付かない程のにおいだったそうですが)を気にするので、これも試しにベッドの囲い部分に漆喰を塗ってあげました。そのおかげか、今では快適に使っているそう。調湿効果だけでなく、におい対策にも検討できる方法です。

最近気になる『珪藻土』について少しだけ

住宅雑誌などでよく見かける「珪藻土」について、小宮さんにも少しお伺いしました。(お客様からのお問い合わせも多いそうです)

珪藻土というのは、藻の一種の化石からできている土です。粒子がとても細かく、水を加えるとぺったりとしたペースト状になります。そのまま使用するには、強度が弱すぎるため、石灰や、ワラ、砂等を混ぜて、かべ塗り用の珪藻土にします。そのため、「珪藻土100%の壁」というものは存在せず、必ず「”珪藻土を配合した土“を使った壁」ということになります。
粒子が細かく混ぜやすい材料のため、ワラの入った昔ながらの壁にも、今回の実験のような光沢のある洋風な壁にも、珪藻土を使うことができるそうです。
お部屋の雰囲気によって風合いを変えて使うのも、面白いかもしれません。